省庁交渉(3)

学校給食と法律「給食は強制か?」

司会 野呂美加さん:

まず文科省さんに確認なんですが、給食は強制ではないですよね。給食基本法によって。

 

文部科学省:

学校給食の実施自体につきましては努力義務ということで、学校給食を我々の下でやっていただきたいということで、努力義務ということで、義務というわけではない。(?)ではそうとっています。

学校給食法

(義務教育諸学校の設置者の任務)

第四条  義務教育諸学校の設置者は、当該義務教育諸学校において学校給食が実施されるように努めなければならない。

『学校給食法』全文はこちらから↓

 

学校給食法.pdf
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確かに、地方自治体が設置した義務教育を実施する学校などで学校給食を実施することは義務ではありません。しかし、教育基本法や学校教育法によって、日本国民である保護者には子どもに9年間の普通教育を受けさせる義務があります。そして義務教育を実施する学校では給食を実施することは努力義務となっています。

 

また、平成21年には「食育基本法」が施行されました。給食は教育の一環、つまり「食育」としての給食の実施を国も推進してきました。その取り組みの中には、原発事故以前からすでに「地産地消」「自給率アップ」などの課題が盛り込まれており、原発事故が起きなければ、本当に素晴らしい取り組みであったと思います。

 

しかし、原発事故は起きてしまったのです。放射性物質による成長期の子どもたちへの健康影響を保護者が不安に思うのは当たり前だと思います。これらの現実をしっかり受け止めて、これからいかに生産者と消費者の信頼関係を取り戻していけばよいか、同じ被害者として支えあっていけばよいのか、みんなで考えていけたらよいと思います。

 

でもまずは子どもを守らなければ。子どもを守れる基準、対策が実現できたなら、大人も暮らして安心な国になるはずです。学校給食が本来の目的通り健全に実施されることを切に願っています。

文責:武笠

学校給食法

 

第一章 総則

 

(この法律の目的)

第一条  この法律は、学校給食が児童及び生徒の心身の健全な発達に資するものであり、かつ、児童及び生徒の食に関する正しい理解と適切な判断力を養う上で重要な役割を果たすものであることにかんがみ、学校給食及び学校給食を活用した食に関する指導の実施に関し必要な事項を定め、もつて学校給食の普及充実及び学校における食育の推進を図ることを目的とする

 

(学校給食の目標)

第二条  学校給食を実施するに当たつては、義務教育諸学校における教育の目的を実現するために、次に掲げる目標が達成されるよう努めなければならない

 

一  適切な栄養の摂取による健康の保持増進を図ること。

二  日常生活における食事について正しい理解を深め、健全な食生活を営むことができる判断力を培い、及び望ましい食習慣を養うこと。

三  学校生活を豊かにし、明るい社交性及び協同の精神を養うこと。

四  食生活が自然の恩恵の上に成り立つものであることについての理解を深め、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと。

五  食生活が食にかかわる人々の様々な活動に支えられていることについての理解を深め、勤労を重んずる態度を養うこと。

六  我が国や各地域の優れた伝統的な食文化についての理解を深めること。

七  食料の生産、流通及び消費について、正しい理解に導くこと。

 

(定義)

第三条  この法律で「学校給食」とは、前条各号に掲げる目標を達成するために、義務教育諸学校において、その児童又は生徒に対し実施される給食をいう。

2  この法律で「義務教育諸学校」とは、学校教育法 (昭和二十二年法律第二十六号)に規定する小学校、中学校、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部若しくは中学部をいう。

 

(義務教育諸学校の設置者の任務)

第四条  義務教育諸学校の設置者は、当該義務教育諸学校において学校給食が実施されるように努めなければならない。

 

(国及び地方公共団体の任務)

第五条  国及び地方公共団体は、学校給食の普及と健全な発達を図るように努めなければならない。

第二章 学校給食の実施に関する基本的な事項

 

(二以上の義務教育諸学校の学校給食の実施に必要な施設)

第六条  義務教育諸学校の設置者は、その設置する義務教育諸学校の学校給食を実施するための施設として、二以上の義務教育諸学校の学校給食の実施に必要な施設(以下「共同調理場」という。)を設けることができる。

 

(学校給食栄養管理者)

第七条  義務教育諸学校又は共同調理場において学校給食の栄養に関する専門的事項をつかさどる職員(第十条第三項において「学校給食栄養管理者」という。)は、教育職員免許法 (昭和二十四年法律第百四十七号)第四条第二項 に規定する栄養教諭の免許状を有する者又は栄養士法 (昭和二十二年法律第二百四十五号)第二条第一項 の規定による栄養士の免許を有する者で学校給食の実施に必要な知識若しくは経験を有するものでなければならない。

 

(学校給食実施基準)

第八条  文部科学大臣は、児童又は生徒に必要な栄養量その他の学校給食の内容及び学校給食を適切に実施するために必要な事項(次条第一項に規定する事項を除く。)について維持されることが望ましい基準(次項において「学校給食実施基準」という。)を定めるものとする。

2  学校給食を実施する義務教育諸学校の設置者は、学校給食実施基準に照らして適切な学校給食の実施に努めるものとする。

 

(学校給食衛生管理基準)

第九条  文部科学大臣は、学校給食の実施に必要な施設及び設備の整備及び管理、調理の過程における衛生管理その他の学校給食の適切な衛生管理を図る上で必要な事項について維持されることが望ましい基準(以下この条において「学校給食衛生管理基準」という。)を定めるものとする。

2  学校給食を実施する義務教育諸学校の設置者は、学校給食衛生管理基準に照らして適切な衛生管理に努めるものとする。

3  義務教育諸学校の校長又は共同調理場の長は、学校給食衛生管理基準に照らし、衛生管理上適正を欠く事項があると認めた場合には、遅滞なく、その改善のために必要な措置を講じ、又は当該措置を講ずることができないときは、当該義務教育諸学校若しくは共同調理場の設置者に対し、その旨を申し出るものとする。

平成25年1月30日に学校給食基準が一部改正されています。

学校給食実施基準の一部改正について:文部科学省.pdf
PDFファイル 383.3 KB

=追加された条文=

 

3 学校給食の食事内容の充実等について

         ↓

(3)学校給食に使用する食品については、食品衛生法(昭和22年法律第233号)第11条第1項に基づく食品中の放射性物質の規格基準に適合していること。

 食品衛生法(昭和22年法律第233号)第11条第1項

         ↓

第十一条  厚生労働大臣は、公衆衛生の見地から、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、販売の用に供する食品若しくは添加物の製造、加工、使用、調理若しくは保存の方法につき基準を定め、又は販売の用に供する食品若しくは添加物の成分につき規格を定めることができる

 

○2  前項の規定により基準又は規格が定められたときは、その基準に合わない方法により食品若しくは添加物を製造し、加工し、使用し、調理し、若しくは保存し、その基準に合わない方法による食品若しくは添加物を販売し、若しくは輸入し、又はその規格に合わない食品若しくは添加物を製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、保存し、若しくは販売してはならない

 

つまり、学校給食に関しても、厚生労働大臣が大切な役割を担っておられるようです。

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