福島県郡山市のお母さんの訴え

こんにちは。郡山から参りました野口時子と申します。私たち、震災直後から母親たちがグループを作って、子どもたちを被ばくから守る為に何とかできないかという会をたちあげて、それからずっとまずは市に色んな事を訴えてきました。

 

給食は震災直後に始まったんですが、その当時はやっぱり牛乳に不安があったので牛乳をやめたりだとかそれぞれに皆さんが対策をとってたんですが、秋ですね。2学期3学期になる頃に、震災直後に作付けされたお米を地産地消という意味で子どもたちに給食に出しますという、紙切れ1枚で教育長の名前で学校から子どもたちが持って帰ってきました。

 

でも震災直後です。震災直後は郡山も相当な線量があったところです。そこで作付けされた地元のブランド米「あさか舞」を子どもたちに食べさせますと。その時の給食の基準値は確か100ベクレルでしたかね。検査体制としては90キロ分の1キロをモニタリングにして、それで調べて基準値を超えない範囲で給食に出しますということが決まりました。何の説明もなかったので説明を求めたんですが、それ以上の説明がなかったので。

 

郡山は農家さんがたくさんいらして、市議会にお願いしに行ったんですがやはり農家さんを背負っている市民の方が大勢いらしてなかなかそうも出来ないということだったので、そうであれば対面式の説明会を設けてくれということを請願という形でだしたんですが、それを求めたにもかかわらずそれさえも不採択でその請願も認められず。陳情というかたちでやってください、ということで陳情は出しましたし、教育長宛に『給食はとにかく地産地消は直ちにやめてくれ』ということも提出させていただきましたが、いまだに地産地消は繰り返される。

学校給食に限っては福島県では10ベクレル以下という数値、基準にはなったんですが、偉い学者さんが『県庁の食堂を1ベクレルにしたらどうか。』と提案して(実施された)。何で学校が10ベクレルの時に福島県の県庁で大人が食べる食堂で1ベクレルを実行しなければいけないのか、その意味もさっぱりわからなかった。その説明も全然受けなかったとか、とにかく不信ばかりが募ってます。

郡山では食品測定機は各学校には配布されたんですが、そこでもまた問題がありまして。配布されたのはいいんですが測定する人は外部の人材派遣会社から来ている。日々測定するんですがそれを公表するのはその人の仕事じゃない。だから測ってはいるけれど、ホームページに載せるとかお便りに載せるのは先生たちの仕事になるので、忙しい先生たちがますます煩雑になる。日々測ってはいるんですが情報を探しに行くのにいろんな時間がかかっている。せっかく入ってる測定機がうまい具合に活用されていないのではないかという思いがあります。10ベクレル以下は不検出ということで、下限値がいくらだったのか分からないので数字を明らかにしてほしい。それでこれだけ測ってありませんでしたというのであれば皆さん納得するし、私は納得します。

 

 

あとは核種検査。魚が給食にあがる事が多いので、セシウムだけではないその他の核種も十分に検査をしてから給食にあげて欲しい。どうしてもずっと当初からの不安は、牛乳は地産地消で本当に安全なのか、それとも混ぜて薄めてるから数字が出ないのか、とにかく疑心暗鬼。お役所の言ってることを丸のみ鵜のみには出来ないという状況がずっと続いている。 

 

山本太郎議員が先ほど言った(ように)、選択の自由がない。給食を選ぶこと、お弁当を選ぶことの選択の自由がなくて、お母さんたちが子どもを学校に人質にとられているという。それは本当に大げさではなくて。

 

ちょっと読み上げさせていただきたい文章があるんですけれど。

 

【次女のつぶやき】

 

この方、小学校3年生のお嬢さんです。

今日○○君がね、喋ってて給食食べるのが遅かったの。そしたら先生が“みんなとごちそうさまが言えないならA子ちゃんのようにお弁当持ってきなさい”って言ったの。私は原発事故さえなければ給食食べてたのよ。みんなより食べたい気持ちがいっぱいなのにさ。そうやって酷いよね。

 

先日はこんなことがありました。教育相談なるいわば2者面談のこと。『2時間目の休み時間。A子さんには無理に校庭で遊ぶようには言えませんが、他の子を一緒に教室で遊ぶように誘わないでほしい。本人に話してもらえますか。』

こういうことを小学校3年生の女の子がお母さんに報告をする。それを聞いてるお母さんは何もできない。とにかく理不尽なことばっかりです。どこをどう信じていいのか分からない。

 

司会 野呂美加さん:

 

指でお弁当食べた女の子の話をしてください。

この子なんですけど。給食をやめてお母さんがお弁当を持たせているんですが、お母さんがたまたまお箸を入れるのを忘れた。小学校3年生ですから普通に考えたら、『あ、A子ちゃん今日お箸持ってきてないから』『先生、持ってません。』と発言するはずだと思うんですけど、周りも喋れない雰囲気というか。

 

『今日はお母さんがお箸を入れてくれないから手で食べてきた。』と報告されたと。本当にこんなことが日常にあります。他の学校でもたくさんそんなことがあって。例えば主食をやめてご飯だけを持っていっている子、お母さんが『その日は中華麺だから食べなさい。』と白米を持たせなかったら、その子には麺がなかった。『あなたはいつも主食を持ってきてるから主食はありません。』と、あんかけだけがのっかってたりだとか。

 

『大きなお皿があなたの分は人数に入ってないから』と、おにぎりとあんかけだったりとか。それって大人のすることなのか。それを周りの子どもたちも多分不思議だと思うはずなんですよ。ところがそれを言えない雰囲気になっているのが現状です。

司会 野呂美加さん:

 

はい、ありがとうございました。今、語ってくださった事というのは福島県だけじゃなくていろんな地域のお母さんたちが、同じ苦しい思いをしています。地産地消、測定方法の矛盾、いじめ等ですね。それを解決する部署がないということも今日はちょっと語らせていただきたい。本当に、手でお弁当を食べた子の気持ちを考えると胸がつまるんです。

私はベラルーシの精神科のお医者さんにお話を聞いた時に、一番この事故において何が大事かといったら『お母さんも子どもも社会から尊重されていると思えるかどうか』なんですね。

 

今、私たちがなんとなくモヤモヤに誤魔化されているという感じがあって実際被害を受けてる子どもたちが一番傷ついていると。本当に社会が“子は国の宝だ”と思われてるようなことを政策で形にしていきたいと思います。

 

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