省庁交渉(3)

鎌仲ひとみ監督からの報告

司会 野呂美加さん:

 

それで、先ほど給食をお弁当にすると、食べる箸を忘れたら手で食べさせられたとか、いろんないじめのようなものについてはまたあとでちょっとお話ししたいと思いますので。

ここで問題なのはやっぱり風評被害対策に給食が使われているんではないかというお母さんたちの疑念ですね。

よく「仕事と私とどっちが大事なの?」なんていう女性がご主人に迫っていろいろ問題なんですけど。風評被害。これはもう事故は起こってしまったんで、そんなの出て当たり前です。実害が出ていると。じゃあそれと子どもたちの体を使ってどういうことをやっていくのかどうかという、そういう一番根源的なものに、すごいお母さんたちがストレスというか、恐怖と、拷問でさえあるというお母さんたちもいます。ですから今日この思いを伝えてですね、伝えなければ帰れないと。

鎌仲さんはよくベラルーシの取材をされているんですけれども、給食できのこは使ってますか?ベラルーシで。牛乳のストロンチウムの話なんかも結構詳しいかと思うんですが。

ベラルーシの取り組み

鎌仲ひとみ監督:

 

そうですね、2012年と2013年二回に渡ってベラルーシの取材したんですけども、ちょっと特に給食のところを取材させていただきました。

日本はきのこを人工栽培していますが、ベラルーシは非常に森が多く、森の中で野生のもすごくできちゃうので人工栽培の習慣がないんですね。なのでほとんど野生のきのこがどっさり採れる、そういう風土なんです。

 

それは私が2012年に行った時に、給食用と、あと地元の生徒の親御さんが森で採ってきたっていうきのこをラボで測っておりました。そのきのこは8,980ベクレルでした。それほどまでもまだ高いので、ベラルーシの場合はきのこは給食に一切使っておりません

あと牛乳もダブルチェックをしておりまして、特にその汚染地が、面積の広いゴメリ州というところにはストロンチウムを計測できるラボが5ヶ所ありまして、放射性セシウム137の計測をした後に、その同じ牛乳をそのラボに回しましてダブルチェックをして、ストロンチウムが出ないということを確認しないと給食には使わないっていうことをベラルーシの方でやっておりました。給食に関しましては、普通の安全基準値よりも厳しい物をというようなことを一貫して追求していらっしゃいます。

確かにその自然放射線というものは平等にあるんですけれども、食べる、体の中に入れるということに関しましては、大人よりも子どもは敏感であるっていうのは、これ世界的な常識でありますので、極力減らしたいということを給食の現場では徹底しているということでした。

チェルノブイリ事故で放射能汚染の被害にあったベラルーシでは、子どもたちの健康を守るために、今でも給食の放射性物質検査や保養などを行っています。

 

[参考ページ]

第二回内部被曝を考える会:給食編

鎌仲ひとみ監督のベラルーシ・レポート ベラルーシの学校給食について

長野県松本市の取り組み

鎌仲ひとみ監督:

 

この間、同じこの会場で勉強会を、給食に関してさせていただいた時に、ある方は「日本の給食は測ってゼロベクレルでなければ食べさせるべきじゃない」という発言をなさった方がいて、私は「大気圏核実験もあるし、チェルノブイリのもあるし、自然界のもあるから、ゼロは無理なんじゃないか」というふうにちょっと反論させていただいたんですけれども。

 

この間ですね、松本市の給食を菅谷市長にお願いして取材させていただきましたら、事故が起きた直後に、給食センター3ヶ所あるんですけれども、その給食センターのトップの方が、これは一大事であるからということで、計測器を購入いたしまして、今現在はですね1ベクレル限界で検出されないものしか使わないということを徹底していらっしゃいます。

 

その現場も見せていただきました。「大変ですね」っていうふうに、「ものすごく毎日の努力が必要でしょうか」というふうにお聞きしましたら、業者さんに「うちはこういう方針だから」っていうことをこの3年間やってきたので、業者さんたちも測って、証明書をつけて、1ベクレル限界で出なかったものしか納品してきませんと。それでもそれはひょっとしてということがあるので、もう一度私どもが独自に測って、それでも出ないっていうことを3年間繰り返して、そういうものだけしか使わなくなってきたので、今大体どの業者がどこで作っているものから出ないという一定の食材がもう把握できているので、そんなに今はもう大変なことではありませんということをおっしゃっていました。

 

これは松本市がやっているその給食対策なんですけれども、そういうふうにできるのであれば、福島の中でもできるんじゃないかなぁというふうに思います。いかがでしょうか?

 

[参考リンク]

長野県松本市公式ホームページ 学校給食の食材について

→ 省庁交渉(4)

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