チェルノブイリへのかけはし 野呂美加さん

鎌仲ひとみ監督のベラルーシ・レポートを終えて

うるとらサポーターズの野呂美加さんのお話です。

 

ありがとうございます。ちょっと予定より遅れて始まってしまったんで、次に私がちょっと、ベラルーシと日本の間を彷徨ってる人間として、ちょっとお話させていただきたいと思います。

 

ベラルーシも独裁国家で、まぁ先輩と・・・先輩。秘密保全法先輩です。笑えないですけど先輩なんですね。これは、秘密にしたいことがすっごくいっぱい出てくるんです。とてもじゃないけど言えないということを今日言わせていただきますが・・。

 

助けようという愛がなければ!

日本で原発事故処理ができるのか?

基準の前に助けようという愛がなければ!

助けられない

 

まず私たちは「助けよう」と思うかどうかですね。被災されてる方、子ども、原発労働されてる方、除染作業されてる方ですね。

 

広島と同じ、チェルノブイリは子供は増えない

 

これはですね、広島と大体同じぐらい、今ゴメリとかホイニキはこういう数字になってます。0.073から0.09マイクロシーベルト(毎時)。0.15あったらちょっと私は高いな、ゴメリっていうのはそういうところなんですね。

だけど、広島は今、元々自然放射線高いところなんですが、原爆の残留放射能がないと言われてます。でもそこで子どもたちは産み増えているけれども、チェルノブイリでは増えることはできない。

チェルノブイリの過ち

生まれた子供は病気がち、心臓に異常

10人に二人、出産

の異常

 

これは、自然放射線とやはり人工的な放射線との違いで、特に子どもの体の中に入れてしまったことを「過ち」というふうにベラルーシの方たちは言っています。だから事故が起こった時ベラルーシの方たちが、「野呂さんたち、日本はチェルノブイリの過ちを犯さないでね。」と言われたんですが、もう犯しつつあるというか、その時間を、5年ですね・・・を使い始めていると。

 

特に福島は数値が高すぎるので、その時計は速いと思います。もうすでに甲状腺がんが多数発症しているのですが、今私たちが20年前に呼んでた里子たちが大きくなって子どもを産みはじめています。汚染地域の中で。だけど、生まれた子どもはもう病気がち。このターニャもですね、走り回ってる。しょっちゅう子どもが熱出したり、どうしたこうしたと病院でですね。

 

それから、生まれてくれてる子どもたちの心臓に異常が多いという。もう僧帽弁不全症※という症状を持って赤ちゃんが生まれてきて、もう来年あたりからそれを“異常”という範疇に入れなくなる。これ汚染地域の中での話です。じゃあどれくらいの出生率なのかと言ったら、汚染地域の中で10人に2人しか女性が出産することができない。色々な問題があってですね。

 

子どもたちの骨、異常だと。これしか言ってくれない。ストロンチウムが危ないよって言うけれども、じゃあ何がどう危ないのかっていうのはみんな口をつぐんでしまう。それが秘密保全法なんですね。だから国として、汚染地域の子どもが大きくなって10人中2人しか出産できないという数字は絶対外には出さないですね。外国人にこういうことを話したということさえも処罰の対象になっていきます。

 

僧帽弁膜症(僧帽弁狭窄症・僧帽弁閉鎖不全症)[東京大学医学部循環器内科ホームページより]

保養 1990年、東ドイツから始まる

子供を送り出した教師たち→民族滅亡の危機を感じる

代表者は数か月、牢獄へ

背景に小児甲状腺がんの多発

 

保養運動というのは、私たちがやってました、これは事故から4年後東ドイツから始まりました。当時はまだ旧ソ連だったんですね。子どもを送り出した教師たちが、その民族滅亡の危機を感じるということで無理やり出したんですね。代表者は数ヶ月間最初牢獄へ入れられたと。なぜかと言うと、小児甲状腺がんの多発が始まって、当時はそれが不気味であったと。

出生率と死亡率の逆転 6年後

 

これがベラルーシの出生率と死亡率の逆転ですが、1986年にチェルノブイリ事故が起こって、6年後にその出生率と死亡率というところに問題が起こってくる。それが国全体として初めて認知できたのがこの6年後なんですね。でも汚染されたエリアでは2、3年後に始まっていると。

 

ここ2、3日の間に福島で津波以外の死亡率が千何人になった※という、あれはストレスなのか放射能のせいなのか原因がつけられない。放射能っていうのはそういうもんなんですが・・・ 

※参考資料
河北新報 東北のニュース/震災関連死 福島県1605人に 11月30日現在.pd
PDFファイル 299.3 KB

チェルノブイリのあやまち

このぐらいなら大丈夫として、汚染された作物を子供たちに5年間食べさせてしまったこと→健康な子供がいない
抵抗力の低下、薬で治せない体調異常

 

なぜ、その「過ち」っていうのは何なのかって言ったら、やはり「このくらいなら大丈夫として、汚染された作物を子供たちに5年間食べさせてしまった」これは小児甲状腺がん増加、爆発的な増加をした時に何なんだということで、やはり色々調べているとだんだんわかっていく。私たちが救援に入った時には、その地域に健康な子どもたちがいない。この当時の子どもたちの食べていたものは大体どのぐらいかというと、50ベクレルとか70ベクレルとかあったようです。その子どもたちが抵抗力が落ちてしまって、この保養運動っていうのはもう世界中でやりました。

保養の目的

細胞分裂がさかんになる成長期の前に放射能を排出させ

遺伝子修復のスピードをあげる

心のリハビリ 放射能を忘れる

 

とにかく、目的はこういうふうに言われてました。細胞分裂がさかんになる成長期の前に放射能を排出させること。それから遺伝子修復のスピードが落ちてくる、汚染地域にいるとですね。だから完璧に汚染のないところで、放射能から隔絶した環境をあげる。それから一番問題なのはですね、心のリハビリなんですね。これが汚染地域の中にいると、子どもも放射能のことをすごく、そのものを気を遣わなければいけないんですが、大人の顔色をうかがって生活しなくちゃいけない。これを言ったら傷つく、あれを言ったら傷つくことっていうのはベラルーシも同じなんですね。その環境に不満を抱いていても子どもは言語化することができないし、やっぱり精神的な病にもなります。

日本では

放射能から子どもたちを守れるのか?

疎開裁判 1mSvは安全ではない

→逃げたければご自分でどうぞ

→被ばくの経済格差

 

では、日本では放射能から子どもを守れるのかな?と私も思います。ベラルーシで守り切れたのかという問題もあるんですけれども。疎開裁判、ありました。仙台の高裁では「1mSvは安全ではない」これは世界的に決まっていることなんですが、じゃあ・・・それが認められてるんですけれども、逃げたければご自分でどうぞという判決だったんですね。ていうことは「被ばくの経済格差」これはベラルーシでも同じことは起こってる。

[参考]

 

「子どもの安全な場所での教育を求める ふくしま集団疎開裁判」ブログより

【報告】仙台高裁の判決(決定)の全文と解説(総集編)

http://fukusima-sokai.blogspot.jp/2013/04/blog-post_29.html

判決(決定)全文
130424Highcourt-decision-open.pdf
PDFファイル 1.7 MB

チェルノブイリ

年間被ばく量1mSv→健康診断

被爆者認定 5mSvで強制移住

1~5mSvの間はグレーゾーン

移住希望者 代替え家、仕事

旧ソ連は崩壊

 

まぁ経済格差というのはどういうことが起こってるかっていうと、やはり人間的な能力っていうのが出てくるんですね。知らない土地に行って「エイヤー!また新しく出直そう!」と思える、そういう人っていうのはやはり勇気がある人ですから、やっぱり自分の知らない人たちの中に入るのが恐いとか、自分が障害を負っていて新しい土地に適応しにくいとか、そういう理由の人はなかなか移住ができないから。

 

この1mSvから5mSvの間はグレーゾーンになってるんですが・・・移住希望してもいいですよと。でもその間「希望できる人」「(希望)する人」「(希望)しない人」に分かれていくんですね。だから残っている人っていうのは、大変貧しい農民層ばかり残っていました。やはり土地を愛するっていう気持ちもあります。

 

これをやって旧ソ連はやはり崩壊しました。

 

先ほど来、鎌仲さんがおっしゃられた子どもたちというのは、年間総被曝量1mSvから、まぁほとんど子どもは2mSvか3mSvぐらいのところが限界というふうに私は思います。

そんな5mSv以上のところに子どもが住んでいるのは見たことないし、大体3mSvぐらいのところで避難しているんですね。

で・・・病気になってます。それは白血病とかガンとかだけじゃなくて、いろんな病名のつかない病気になるんですね。

ベラルーシは事故対策に国家予算の4分の一をあててきた

事故対策は国の責任

非常事態省から各省庁へ

 

このベラルーシの事故対策は国家予算の四分の一をあててきたと。私は先ほど「泣いて子どもを帰してきた」と言ったんですけれども、あの貧しいベラルーシで四分の一をずっと被災者対策に使ってきた。年間総被曝量1mSvの国民ですね。大人も子どもも健康診断やってサナトリウム(=長期的な療養を必要とする人のための療養所)に送って、そういうことをやって四分の一使ってきたと。これが何なのかって言ったらですね、それをやって旧ソ連崩壊したんですが「事故対策は国の責任である」と。まぁあちらは社会主義国ですからしっかりしてるんですね、そこは。ところが、日本は責任を求めていくところ、どこにあるのかわからなくなってくる。

非常事態省 責任はここ!

放射能防護

科学者たちが基準を決める

最初は1mSvで移住説もあったほど(しきい値なし理論)

 

非常事態省というところでいろんな一元管理をしていて、それから各省庁に下ろされていくと。ばらばらにいろんな放射能基準を決めていくわけじゃないんですね。責任はここにある。「放射能を拡散させない」「国民を被曝から守る」というですね、責任省庁があって、「放射能防護」と・・・なんですね。「復興」が目的ではないんですね。それで科学者たちがいろんな調査に基づいて基準を決めています。最初は1mSvで移住説も出たんですけれども、それはロシアの方から経済的に破綻するよというふうに言われて、まぁ最終的に5ミリになったんですね。

ベラルーシの食品測定

1)検査のタイミング

収穫時(畑)・加工時・市場での抜き取り調査

検査器械の性能のチェック

2)食品基準(核種)

ストロンチウムとセシウム

 

もう一つはベラルーシの食品測定ですが、検査のタイミングが3つあります。それは収穫時、それから加工時、それから市場での抜き取り調査ですね。これはもう検査機械を必ず性能チェックすると。それらに全部ものすごい法律で厳しく規制しているんですね。だから市場で抜き取り調査を政府がした時に、万が一放射能が出ていたら、やはりその業者がものすごい罰せられるわけですね。それから先程言ったようにストロンチウムとセシウムを調べています。彼らは科学者がラボを持っていますので、そういうような体制をちゃんと取っています。

日本は 復興庁 事故前に戻したい

事故対策が、地方自治体まかせ

→モチベーションのない議員には無理

有識者(御用)と科学者の混同

経済界とのバランスの壁

銀行・不動産・一次産業・そのほか

 

ですので、日本ができないのかと言ったら、日本だってそういう技術はあるんですけどやる気がないんですね。助けようと思っていないと。それから、復興庁というのは事故前のようにして復興させたいでも事故対策は地方自治体任せになっている。これは、放射能の問題っていうのは大変難しい問題で、勉強しなければいけない。モチベーションがない国会議員さんとか市議会議員さんとかちょっと難しいんですね。

 

それから日本の場合は、経済界がやはり、子どもたちの給食であるとか放射能防護に対して「それでは困る」という口を出してきます。

 

被ばくの初期症状は医療では治せない

 

しかしその結果子どもたちがどうなったかというのは、もうこういう顔つきですね。ほとんどの子どもたちは甲状腺が悪くなって・・・「がん」ではないんですね。みんな甲状腺機能障害でした。私たち648名受け入れていたけれども、その子どもたちは、甲状腺障害を持っていない子どもたちはいなかった。みんなホルモンの異常だったり、腫れていたり、ほとんどはそういう子どもたちだったんですね。その中から抵抗力の落ちた子が小児甲状腺がんになるというふうに言われていて、政府は、大人が1mSvですけれども、子どもはそれでもきついですからサナトリウムに行ってます。

 

汚染地域の子どもたち

1mSvに子どもはみたなくても

サナトリウム(保養所)年2回(24日×2回)+海外保養

つまり 東京程度の汚染でも保養

子供の保養、疎開が日本でできるのか?

日本ではそのセクションが存在しない

文科省?厚労省?環境省?

100人1か月保養→一人10万円

1000万 国がつぶれてもやるか?

旧ソ連3国 同じ基準

先にベラルーシが決めて他もしたがった

日本は「保養」という言葉は使用禁止になりつつある

 

こういったことをやる。こういうことを日本でできるのかと。

もう日本では一体どこが責任のセクションなんだかわからない。

給食にしてもそうですね。

 

日本では「保養」という言葉さえ使ってくれるなと。福島の方が言うんですね。「まるで自分たちの土地が危ないみたいじゃないか」

日本の不幸中の幸い

国家の食品基準を順守しない

給食のことは地方自治体に責任がおしつけられた

母親たちの活動により、ほぼ0被ばくに近い地域が出現

リスク

地域間格差・秘密保護法・不安定→地産地消の圧力

日本の不幸中の幸いというのを書いたんですが。国家の食品基準を順守しない。給食のことは地方自治体に責任がおしつけられたということで、母親たちの活動によりほぼ0被ばくに近い地域が出現していると。これは先程言いましたゲルマ入れたりですね、意識の高い市議会議員さんが頑張った。だけど地域間格差、それから秘密保護法で食品は秘密に、放射能値のこととか秘密にされる可能性があると。この間国会でも「テロが食べ物に毒を入れるかもしれないから」っていうこと等お話されていました。

 

それと、お母さんたちの活動で、話し合いでゼロ被ばくを実現した地域も、それは首長さんとか議員さんが理解があったからなんですね。これは不安定なんです。国の基準は100ベクレルなのにゼロベクレルっていうふうに言ってるってことは、やはり議員さんが変わったりすると地産地消の圧力が出てくる。私たちはやっぱり、「そんなこと言ったって経済の問題が」なんていう声が出てくるんですけれども、経済の人たちが原発作ってきたわけですから、やはり日本の経済のあり方をしっかり考えないと。

 

これまともにやったら国がつぶれるでしょう?100人の子どもを1ヶ月保養に出したら1千万かかるんですよ。だったら、じゃあ一体どれだけの対象の子どもたちを保養に出さなきゃいけないの?疎開に出したり強制移住させたらどれぐらいのお金掛かる?それを本当に私たちは本気でやる気があるか。愛国心を持てと言ったんですけれども、安倍総理は。じゃあ国は国民を愛してくれているんですか?私たちが、本当に国がつぶれても子どもたちを助けるところまでお金出す。それやれるんですか?

 

ベラルーシ27年間やってきて、学校の先生が「体の中に放射能入れないのが私たちの務めだ」と言ってくれるところまできてる。その経験を、あるのに、また同じ過ちの道を行くということは、もう本当に子どもたちに対して申し訳ない。私たちが作ってきたもの「経済繁栄」ですね、そこに反省がなかったら。

 

でも、山本太郎さんがですね、こういうふうに最初出会った時言ってたんですね。

 

「一回つぶれても国民が健康だったらやり直せる。」

 

でも国民が病気だったら、このままやって、子どもたちが次世代引き継いていったらですね、やり直すこともできないんですね。本当にいま一度いろんなものをリセットしなきゃいけないところにきてるのかなぁというふうに思います。

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